もっと遠くへ

山が好き。走るのが好き。さぁ、果てしない旅に出よう!

中山道 “風の旅” (第1ステージ、第2ステージ)

一昨年は今回の“風の旅”主催の末房さんの甲州街道“鳥の旅”(下諏訪→日本橋:215km)に参加して、経験不足から足を痛めて180km地点の八王子リタイア。

 

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 昨年、再び“鳥の旅”に参加して完走。リベンジを果たす。

 

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限界を超えてそこへ行けば新たな限界に挑戦したくなるというのは人間の本性だろう。

215kmを超える距離を走れるのだろうか?

知る人ぞ知るジャーニーランというのは結構あって今だに全貌は分からないけど、有名な“川の道”という千葉から新潟まで500km以上を走るジャーニーランがある。じゃぁ次はそれかなと思いつつ、今回と同じでGWをほとんど潰して走るってのは家族の理解がないとできない。こういうのはタイミングというのがあって、今だと感じたら先延ばししない方がいい。思い切って嫁さんに相談したらオッケーが出た。しかし500km超えともなると誰でも申し込めるわけじゃない。幸い“鳥の旅”完走の実績があり参加資格を満たすということで“川の旅”に申し込む。ところがここでどんでん返し。人気の企画だけに優先枠とかあって一般枠は優先枠の残りしかない。それでも当選する可能性はある。結果は落選。なぜかというと優先枠で定員に達してしまって一般枠が無かったのだ。なんか肩透かしを食らったみたい。

そんな時に末房さんの第2段、中山道“風の旅”(日本橋京都三条大橋:538km)が遡上に上がる。GWを潰すという点ではハードルはクリアしてる。ならばエントリーするしかないやろ。こっちは抽選なんか無いし、旧街道大好き人間としては、中山道は超魅力。結果オーライだ。

“川の道”と“鳥の旅”の違いは前者が1ステージであるのに対し、後者は4ステージに分かれてるという点だ。3泊7日の旅。経験無いしわけわからんなぁ。最大の興味は100km以上走った身体で一晩寝て起きてからまた走れるのか?ということ。だいたいウルトラ走った翌日は脚がボロボロで走るなんて有り得ない。これはマズい。対策が必要だ。まずはネットで“ステージレース”で検索するとリカバリーのノウハウが色々と見つかった。走った後の筋膜リリースが有効らしい。早速グリグリ棒を買う。

筋膜リリースとは? | トリガーポイント™ 公式サイト

 

こうして初日の4月29日を迎える。

 

【第1ステージ】日本橋ー望月宿 182km-33hr 

(4/29 9:00スタート)

いよいよ旅の始まりだ。

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まずは皆んなでお約束の記念撮影。

ジャーニーランのスタートはマラソンやトレランと違ってスタートしたのかしてないのかわからないくらい緩い。「しょうがない、ぼちぼち走るか」ってノリだ。都内なんて信号ばっかりで速く走ろうが遅く走ろうが関係ない。

神田、湯島を過ぎると、東大赤門が右手に見えた。恥ずかしながら初めて見た。

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その後、巣鴨商店街へ入る。

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ここも初めて通ったのだけど昭和生まれにはとても懐かしい雰囲気。しばらく走ってると女性ランナーが「ここのおはぎが美味しい。」というので最初のブレイク。

おはぎをいただく。これから中山道を踏破しようという緊張感は皆無。冷んやりとしたおはぎは噂通りとても美味しかった。

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商店街を過ぎ、清水坂を下った辺りで1人の外国人と出会う。

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聞けば3週間掛けて京都から中山道を歩いてやっとここまで来たらしい。我らと同じ旅人ではないか。その出で立ちが日本人より日本人らしくてびっくり。下半身は真っ白な足袋に半股引。上半身も白いシャツに和風柄。僕らはこれから1週間で京都まで行くと話したら「You are crazy !」と言われた。あんたもかなりcrazyだと返した。

蕨宿はお祭りなのか屋台が並んでる。

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人が多いので走らずのんびり歩く。

デコポン(?)3個1000円をサービスで6個で1000円で買い皆んなで分ける。得した気分だがこれが屋台の売り方ってもんだろう。美味しかったのでwin- winだ。

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蕨宿で草鞋とワラーチの記念撮影。

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ワラーチは現代版草鞋(わらじ)なのだ。

大宮の氷川神社の長い参道に入る。緑のトンネルは涼しくて気持ちがいい。

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参道にある団子屋へ立ち寄る。

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冷やし甘酒をいただく。無糖の自然な甘さでとても美味しい。しかし、こんなに道草食ってていいんだろうか?

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最初のチェックポイントCP1(29km)は氷川神社。初めて訪れたけど、なかなか立派。

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氷川神社を後にして旧中山道を淡々と北上する。新道(国道)より旧道の方が車が少ないとは言え、都会はやっぱり車が多いし、建物も大部分建て替わってるので風情は今ひとつ。

北本宿を通過。

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20年ほど前に2年ばかし北本に住んでたので懐かしい。少し垢抜けた感はあるがそんなに変わってない。

鴻巣宿辺りで日が暮れる。

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真っ暗闇の荒川の河川敷から遠く熊谷宿の灯りが見える。早くあそこまで行きたいなぁ。

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熊谷駅を通り過ぎてしばらく進んだところでサポートエイド発見。椅子に座って温かい食べ物をいただく。夜の10時頃。単調なナイトランの憩いの場だ。本当に有難い。

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安中宿に入り日が昇る。

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夜の暗闇を走り抜けて迎える朝は格別だ。日常生活では夜寝て起きたら朝だけど、夜通しナイトランの場合は、真っ暗な空が薄明となり朝陽が景色を照らし出すまでの連続的な変化をずっと感じながら朝を迎える。エネルギーに満ちた朝陽を浴びて気分が高揚する。

CP2(119km)の安中駅を過ぎると左手に妙義山系の荒々しい姿が見え始める。

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広大な関東平野を突き抜けていよいよ山に入るんだと気を引き締める。

CP3(136km)横川駅到着。

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荻野屋の峠の釜飯を食べたいところだけど残念ながらその時間は無い。

坂本宿は中山道の難所、碓氷峠を越える前の最後の宿場ということで大いに栄えたらしい。真っ直ぐ伸びた旧道の正面に「どうだ、越えてみろ!」と言わんばかりにこんもりとした山が聳え立つ。

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坂本宿を過ぎるといよいよ碓氷峠だ。

日本橋からずっとロードを走って来たがここで突然トレイルに入る。

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木々の緑に包まれる。

深く息を吸って森の匂いを身体に満たすと、夜通し走った身体にエネルギーが戻ってくるようだ。やっぱり人間には緑が必要なんだなと思う。これまでずっと走ってきた平野部の旧道にはあまりにも緑が少ない。

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どんどん山道を登っていくと、木々と間に遠い街並みが見通せる場所にでる。

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ここが「のぞき」と呼ばれる場所だ。遠くに見える街並みはさっき走り抜けた坂本宿。こうやって遠目にみれば昔と今も変わらぬ景色なんじゃないかなぁ。

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長いけど気持ちのいいトレイルが続く。難所碓氷峠を越え山を下ると別荘地に入り、そこを抜けると沢山の人で賑わう通りに出た。なんか見覚えがある。

軽井沢だ!

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ずっと山の中だったので別世界に来たよう。人が多くて走れないので歩く。とにかく温かい珈琲が飲みたい。テイクアウトの店を見つけた。ついでにソフトクリームも。

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美味しい。

一息ついたところで距離と時間を確認。150km地点なので残り32kmだ。時刻は14時。18時の制限時間まで4時間。平均ペースで7.5km/分。休まず走り続ければ間に合うが、そのペースで走り続けるのは今の身体の状態では無理だ。到着が遅れると宿の夕飯に間に合わないかもしれない。ここで走るのを止めたとしても、望月宿へ移動するには本数の少ない電車とバスを乗り継ぐ必要がある。タイミングを逃すと公共交通機関を使っても18時を過ぎる可能性もある。今日が最終ステージなら迷わず先へ進むだろう。初めてのステージレースで身体がリカバリーするのかどうかも未知数だ。ここで無理をして次のステージが走れなくなっては元も子もない。スタートからずっと共走してきた藤原さんと相談して、残念ながら第1ステージはここで中断することにした。

その後、軽井沢から電車で佐久平へ。佐久平からバスでゴール地点でもある望月バスターミナルへ移動して第1ステージが終わる。

宿に着いてすぐ風呂に入る。とにかく次のステージのために身体をリカバリーすることが最優先事項だ。シャワーの冷水でアイシング。温水に切り替えて温めてからまたアイシング。これを何度も繰り返す。風呂から上がったらグリグリ棒で念入りにマッサージをする。夕飯をがっつりと食べたっぷりと栄養補給。そして眠りにつく。

 

夢を全く見ないほどに深い眠りだった。

朝起きて身体のチェック。

痛みはあるけど走れるレベルにはリカバリーしてる。最大の不安を払拭してモチベーションが上がる。

念には念を入れて朝風呂のシャワーでアイシング。食欲も旺盛で朝食もがっつりといただく。宿をチェックアウトして車でスタート地点のバスターミナルへ向かう。

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【第2ステージ】望月宿ー馬籠宿

148km-34hr (5/1 8:00スタート)

大好きな里山風景を見ながら進むと一変して古い家が立ち並ぶ静かな通りに入った。

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望月宿だ。道の両側の水路を流れる水音が心地良い。現代の生活では、水は蛇口から出てくるものだけど、昔は山から流れてくる水をこうして生活の中に取り入れていたのだろう。

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綺麗な水と言えば酒だ。

酒好きなランナーが酒蔵を見つけて、吸い込まれるように中へ入って行くのでついて行く。

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陳列棚にたくさんのお酒が並んでる。みんな食い入るように見惚れてる。

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お酒の弱い僕でも美味しそうで飲みたくなるくらいだから、お酒好きなランナーは迷わず購入。瓶はさすがに重いので缶入り。

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お土産用かと思いきやもう呑んでる。まぁ飲酒運転禁止の規程は無いのだから・・・このゆるゆるなところが旅ランの良さ。

笠取峠へ向かう手前に、松並木を走る。

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笠取峠の由来は、風が強く編笠がとばされるとか、暑くて編笠を脱いだとか諸説あるそうで、この松も強風や暑さを凌ぐために植えられたとか。

笠取峠を越え、難所和田峠へ向かって長閑な田園地帯を進む。

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ふと見ると古民家風のバス停。なかなか立派。雨宿りにも良さげ。

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和田宿に入ると中山道沿いのあちこちに水飲み場がある。

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備え付けのコップでガブガブと飲み、ボトルに補給。旅人にはほんとありがたい。

そして和田峠の入口に到着。

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いい雰囲気のトレイルだ。

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しかし熊が出るらしい。そんな気配は感じられないけど、近頃は山の木の実が少なくなって熊の行動範囲が広がり人間との遭遇率が高まってるとか。一応用心しするとしよう。視界良好なので熊鈴は鳴らさないでおく。沢のせせらぎや鳥の声を静かに聴きたいから。

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峠へ向かって緩やかな登りが続く。難所とは言え、本格的な山登りに比べればなんてことはない。

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疲れを感じさせないほどに気持ちのいいトレイルが続く。

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あまりに気持ちの良いトレイルなのでワラーチを脱いでしばらくの間、裸足で歩いてみる。

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見た目ほどには快適じゃなくて足裏がチクチクする。長距離走ってやや過敏になってるせいかもしれない。少々刺激が強過ぎるので再びワラーチを履く。

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石畳もある。情緒に溢れてとても良いのだが歩きやすいわけではない。きっと雨が降っても泥濘まないように石を敷いたんだろう。

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峠近くに立派な一里塚がある。江戸から52番目だそうだ。このアナログ感がいい。こんな一里塚をこの後も何度も見るのだが、旧道の証としてこれからもずっと保存して欲しいと願う。

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そうこうしてるうちに和田峠へ到着した。広場みたいで想像していた峠のイメージとはちょっと違う。朝から動きっぱなしだったので腰を下ろして腹ごしらえ。昔は峠近くに茶屋が何軒かあって旅人で賑わっていたらしい。今の峠は、車道を車が通り過ぎるだけの寂しい場所になってしまった。

諏訪側の下りは、道幅が狭くやや急峻だ。

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谷へ落ち込む急斜面をトラバースする箇所なんか、昔は馬が滑落することもあったんだろうな。覗き込んでると身震いがした。

峠を降りると諏訪宿だ。

最初に目に入ったのが「天下の木落し坂」の大きな石板。

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最初ピンとこなかったけど、案内のオジさんがいて説明してもらってやっと気付いた。よくテレビで放映されてるあの祭り。屈強な男達が大木(御柱)に乗っかって急斜面を転げるように落ちていく正にその坂のことだ。ここはその坂の頂上にあたる。

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模擬御柱という半分の長さ(10m)の御柱も置いてある。樅の木だそうだ。

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坂は呼び名通り“下る”と言うより“落ちる”と言うのが相応しいほどに急峻だが写真では表現できず。

さらに下るとパッと視界が開け、下諏訪の街とその向こうにある諏訪湖を一望。

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とうとう下諏訪まで来たんだ。下諏訪というと甲州街道との分岐点である。一昨年、昨年と参加した同じ末房さん企画の“鳥の旅”の出発地点でもあり、来たと同時に帰ってきたような不思議な気持ちだ。

思えば望月宿から諏訪宿まで旧道沿いにはコンビニが一軒も無かった。(旧道から少し外れた新道に一軒あったがパス)

行動食のみでまともに食べていない。これから夜通し走るのにしっかりと腹ごしらえしておかねばと飯屋を探すがなかなか見つからない。ようやくラーメン屋を見つけて入る。

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こってりとした味噌ラーメンにミニチャーシュー丼を腹にぶち込んでいざ出陣。時刻は18時を過ぎ、陽が暮れてようとしていた。

塩尻峠へと続く暗い旧道を登り始める頃にはすっかり陽が落ちる。

振り返ると街の灯りと諏訪湖の影。

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漆黒の旧道に吸い込まれるようにして諏訪湖を後にした。

夜は景色を見えないので写真もほとんど撮ることもなく黙々と走る。いくつかの宿場を通り過ぎ、深夜1時半頃に江戸時代にタイムスリップしたかのような情緒のある宿場に入る。

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奈良井宿だ。

観光客などいるわけもなく、住民が寝静まったこの時間に、並走してきたランナー3人ぽっちで左右を物珍しそうに眺めながら静かにそぞろ歩く。漆器のお見せがずらりと並んでる。ここは昼間にまた訪れたいところだが、これはこれで贅沢なひと時だと思う。

奈良井宿を過ぎると木曽路最大の難所鳥居峠へ入る。 

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入口の石畳が暗闇に消える。

ヘッドライト以外に光は無い。

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おまけに熊に注意だ。

熊鈴を鳴らす。熊は夜行性ではないらしいのできっと寝てるだろうけど、音で気を紛らわす。

峠を越えて下り始めたところに熊除けの鐘があったので今更だけどジャンジャン鳴らす。

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薄雲に浮かぶ月の光が幻想的だ。

眼下に藪原宿を見下ろす。

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鳥のさえずりが段々大きくなる。

薄明に木々が浮かび上がる。

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夜明けは近い。

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藪原宿に着く頃に朝を迎える。

熊に襲われなくて良かった。

昔の旅人は夜に鳥居峠を越えたりなんかしなかったろうに。ここも昼間にまた訪れたい。

藪原宿から先は木曽川沿いを走る。

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奈良井宿側の川より水量が多くて迫力がある。

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宮越宿の本陣を横目に見ながら通り過ぎ、宿場を離れた辺りに「中山道 中間点」の標識があった。

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江戸、京都の双方から266kmと書いてある。ずいぶんと長いハーフだ。

旧道と国道を出たり入ったりしながら進むと前方に道路を跨ぐおおきな門。

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関所の町、木曽福島だ。

昔の関所はこっち。

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通関は厳しかったらしいが今はフリーパス。そして福島宿に入る。

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ここもタイムスリップしたかのようだ。

この辺りで、それまでに微妙に感じ始めていた足首の痛みが強くなる。一昨年の鳥の旅のリタイアの原因となった部位だ。嫌な予感。気になりだすと余計に痛みに敏感になる。

CP5(105km)の上松宿へ着く。

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ゴールの馬籠まで残り43km。時刻は11時半なので制限時間の18時まで8時間以上ある。普通に走れば間に合いそう。しかし峠越えとある。ここで無理して鳥の旅の二の舞いになったらどうしよう。やっぱり京都まで行きたい。

葛藤の末、第2ステージDNSを決意した。時間切れの第1ステージに続いてのDNSに凹むが、とにかくリカバリーに専念しなくては。アイシングがしたいと呟いたら、日本橋からずっと一緒に走って来た藤原さんが近くのお店でロックアイスを買って来てくれた。ほんと有り難い。藤原さんは行けるところまで行くということで一旦別れる。

 主催の末房さんと電話で相談して、この先にある南木曽駅でピックアップしてもらうことにした。電車待ちの間もずっとアイシングを続ける。

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その後、電車で南木曽駅へ移動し無事に末房さんと合流。藤原さんもその手前の須原駅でピックアップしゴールの馬籠へ向かう。

途中、車の中から馬籠の町並みを見る。

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雨の宿場も風情があって良いが、もし走ってたら辛かったろうな。でもそういう辛さをひっくるめて旅なので、やっぱり自分の脚で走りたかったなと思う。

明日の第3ステージは60km。短距離(?)なので少し気が楽だけど、足首の炎症が悪化しては京都へ辿り着けない。お風呂でシャワーを冷水にしてアイシング。温水にして温めてまた冷水でアイシング。これを何度も繰り返す。思えばこういうケアに対してこれまであまりにも無頓着だった。走った後は脚ボロボロで、翌日は歩くのもやっと。それでも何事も無かったかのように仕事をする。それが男の美学だなんて格好つけてたけど、全然格好良く歩けてないやんか。やっぱり走った後、ちゃんとケアして、「今日もまだ走れるよ」ってのがホンマに格好いいな。

 

第1ステージ後と同じく、全く夢を見ないほどの深い眠りから覚める。

足首の痛みはかなり引いて走るのは問題無さそう。アイシングはかなり効果があったようだ。たったの60kmだし完走できそう。距離感がインフレを起こして麻痺してる。末房さんの説明によると小さなアップダウンの繰り返しで結構キツいらしい。最終ステージもあるので短いといっても無理は禁物だ。

(第3ステージ、第4ステージへ続く)