白峰三山ワラーチ縦走
これまで数々の山に登ってきたけど南アルプスの山にはご縁が無かった。関西に住んでた時にはアプローチが難しい。関東に住んで20年、やっと南アルプスへ行ってきました。
圧倒的に単独行が多い自分ですが、今回はこの秋にOMMレースにパートナーとして参加する新川さんを誘って登りました。OMMの予行演習も兼ねてテント泊にしました。新川さんはタフなトレイルランナーですが3000m級の山は初めて。いきなりファストパッキングのハードな登山計画ですが新川さんなら大丈夫だと判断。しかしその1週間前のおんたけウルトラトレイル100kmで脚を痛めてしまったので、もしかしたら単独行かなと思いましたが、なんとか回復したようなので当初の計画通り、2人でファストパッキングとなりました。なおかつ2人ともワラーチ。
【7月23日】
朝7時、JR三鷹駅で新川さんのマイカーでピックアップしてもらい芦安駐車場へ向かいます。
いきなり中央道渋滞。予定してた登山バスに乗れるか乗れないかヤキモキしつつも1カ月前の甲州街道鳥の旅で訪れた甲州盆地を眺めながらあの時のことを思い出して懐かしむ。
ようやく山の中に入ってワクワク。
芦安駐車場に車を止めて予定より1時間遅れ、乗り合いタクシーで登山口となる広河原へ向かいます。
(11時40分 広河原登山口)
広河原の登山口から出発。
気持ちの良い森林帯のトレイル。
段々と勾配がきつくなる。
(13時 白根御池小屋)
白根御池小屋到着。なかなか立派な小屋です。トイレは水洗で綺麗に清掃されてました。
小屋を出るとすぐに「草スベリ」と呼ばれる急登が始まります。
文字通り、草に滑りそう。登山道はしっかりしてるのでそんなことはありませんが。
(小太郎尾根分岐)
主稜線の端っこに到達。ガスって眺望はないけど、見えるであろう稜線を想像して俄然モチベーションUP!
そして本日の目的地である北岳肩の小屋へ到着。
(15時10分 北岳肩の小屋)
テント場には既にたくさんのテントが張られていて良い場所を見つけるのに少し手間取ったがなんとか見つけて設営。
今回使うテントはアライのエアライズ2。重さは1.5kg。今時のUL感覚から言うと必ずしも軽くはないが居住性を考えるとOMM本番もこのテントだろう。
設営を終えて一息ついたところで夕飯の準備だ。ご飯はモンベルの2杯分が1袋になったアルファ米に、無印のレトルト豆カレーとアマノのフリーズドライ親子丼。かなり食べ応えがありました。
食後の珈琲飲んで一息ついてたら何やら上の方から騒めきが聞こえる。小屋の前の広場に人が集まって手を振ってる。夕陽が見れるような空でもないがとりあえず上がってみる。そしたらナントこれまでに見たこともないくらいクッキリとしたブロッケンの妖怪が現れる。
ブロッケン自体いつも見れるわけじゃない。これ見ただけでもここまで登ってきた甲斐があるというものだ。空を見上げると青空が広がり太陽の光が射し込む。
2人テントの中でビールとワインとつまみで酒盛り。寝る前に夜空を見上げると満天の星空。明日のお天気は期待できそう。
こうしてる間にすっかり夜になって20時頃に就寝。
風は弱く静かな夜。気温もさほど低くないのでスリーシーズンのシュラフでも快適だ。
【7月24日】
3時起床。朝飯は定番のサッポロ一番みそラーメンだ。
麺だけだと味気ないのでフリーズドライの具材をたっぷり入れてプチ豪華に仕上げる。朝珈琲飲んで一息ついたところで夜が明け始める。
晴れてます。
雲の大海原が朝焼けの光に照らされて浮かび上がる。今から日の出までの間は刻一刻と光が変化するので目が離せません。
(5時20分 北岳肩の小屋)
朝陽がすっかり上ったところで出発。
高度を増すにつれ雄大な景色が広がります。
太陽の光に映し出される景色は刻一刻と変化します。
光の織りなす景色とはまさに光景。
富士山に何度も魅せられ。
(6時 北岳山頂)
ついに北岳山頂に立つ。
雲海に浮かぶ富士山。
遥か彼方まで続く美しい主稜線。
ぼぉーと見ていたいけど、先が長いので第2峰の間ノ岳へ向かって出発。
(ミヤマオダマキ)
高山植物も岩場のあちこちに咲いていて癒やされます。
高山植物咲き乱れ夏を謳歌してます。
相変わらず富士山を拝みながら一歩一歩進みます。
(8時 間ノ岳山頂)
第2峰、間ノ岳到着。
相棒(ワラーチ)と一緒に富士山を拝みます。足蹴にしてるわけじゃありませんから。
第3峰 農鳥岳を目指し先を急ぎます。
富士山に挑むかのように立つ大きなケルンが平坦な岩場の道案内です。
農鳥岳へ向かって美しい稜線が続きます。眼下に赤い屋根の農鳥小屋が小さく見える。
見た目だと走れそうに見える稜線ですが、実は石ころだらけで走れるようなところはほとんどありません。ワラーチはクッションが無いので雑に着地すると足裏に負担が掛かります。なので一歩一歩丁寧に足を運びます。ワラーチで登山をしてると多くのハイカーに「足、怪我しませんか?」と聞かれますが、剥き出しの足だからこそ感覚が研ぎ澄まされ、岩に足をぶつけるとか、滑らせるということが少ない。少ないのであってゼロでは無いから、岩にぶつけた時のリスクはシューズより高いのは致し方無い。総合的に評価するとワラーチを選ぶ。何よりもその開放感、地面との対話は捨て難い魅力となってしまった。その代わり、もしもの時の備え(ファストエイド)は怠らないようにしてる。
(9:50 西農鳥岳山頂)
西農鳥岳山頂に到着。
先を急ぎます。
平らなところが農鳥岳山頂です。
富士山を背景に美しい稜線に何度も見惚れます。
(10:30 農鳥岳山頂)
そしてついに第3峰 農鳥岳(3026m)に到達。白峰三山制覇!
ここからしばらく稜線を進み大門沢下降点から奈良田へ下山。
( 11:05 大門沢下降点)
ここからは樹林帯の急坂を黙々と下ります。大腿四頭筋使いまくりで明日からの筋肉痛は必至。
(12時20分 2030m 大門沢の河原)
大門沢の河原へ出てようやく勾配が緩みますが、先は長い。
途中、沢のように水が流れるトレイルに出くわす。ほんまに正しいトレイルなのか? 立木に赤いリボンがあるので間違いないだろう。
こんな時こそワラーチの本領発揮だ。濡れても平気をなんの躊躇もなくバシャバシャと水の中を進みます。疲れた足に冷たい沢水が気持ちいい。
吊り橋を渡る。ゴール地点の奈良田第1発電所までもうすぐだ。
7月24日 15時
無事にワラーチ白峰三山縦走を終えました。全行程22kmでした。
そこからがまた大変。
発電所から暴走登山バスに乗って広河原まで1時間。広河原で40分くらい待って、芦安駐車場までまた暴走バスに乗って1時間。3時間弱も掛かってなんか無駄な時間。こんなことなら奈良田駐車場にしとけば良かった。次回はそうしよう。
芦安駐車場の日帰り温泉で汗を流して、甲府の小作でほうとうを食べた。
河口湖の不動と並ぶほうとうの有名店らしい。確かにどっちもボリュームたっぷりでお腹一杯。
のんびりし過ぎて高速の渋滞のこと忘れてた。中央道渋滞で千葉まで帰り着けるかどうか微妙だったけど、なんとか帰り着きました。
梅雨明けしていなくて出だし天候が良くなかったので、OMMに向けた予行演習なのでお天気悪くていいやと思ってたけど、蓋を開ければお天気に恵まれ最高の山業でした。
FINE!